最近あんましシンセ修理関連のポストしてないですね。
ちゃんとやってますよ。
今回はFS鍵盤リビルドのちょっとしたポイントなど。
FS鍵盤って?
FS鍵盤ってのはYAMAHAが作ってる(作ってた※)セミウェイト鍵盤です。
※今はFSX鍵盤っていう割りと普通のセミウェイト鍵盤になってる
FS鍵盤は普通のセミウェイト鍵盤とはちょっくら違う点があったりするんですよこれがね。
「普通のセミウェイト鍵盤」ってのは殆どが通常のシンセ鍵盤にウェイトを貼り付けたような作りになっています。その点、FS鍵盤はもともとセミウェイトで設計されてたりしてなかなか出来が良いんです。
特徴を上げるとー
- 鍵盤の奥行きが長いので鍵盤の奥を弾いてもしっかり打鍵できる
- スプリングが板バネなんでウェイトだけよりもいい脱進感がある
- ウェイトを仕込んでる位置が白鍵黒鍵で同じくらいの位置になってるので白鍵と黒鍵でタッチの差があまりない
- やかましい
- グリスの具合でタッチが変わってしまう
→弾かないでほっとくとグリスが固着して鍵盤の戻りが悪くなったりする - 真受けから衝撃を受けると支点の引っ掛けが折れて鍵盤落ちする
って感じで。
グリスの加減とゴミの具合でタッチが劣化するんですよ。
この加減がなかなか難しい。
やかましいのは反発力が強い(連打性能がいい)裏返しなんで仕方ない点もある。
鍵盤受けフェルトのかたまり具合にもよるけど。
鍵盤タッチについて
FS鍵盤搭載機種によってタッチが違う、特に初代DX7のタッチがいい、とかよく聞きます。
DX7は筐体が頑丈で箱型になってる構造上、鍵盤Assyを受け止める側の剛性が高いという点があってそれが理由かなと思ってます。
通常の機種では底板が強度骨格になるんでDX7よりも強度が落ちるかなってそんなイメージ。
通常のFS鍵盤採用機種では筐体上部パネルから吊り下げられ、底板が支える形になってるんでそこら辺がDX7と違う点になってるかなって。
DX7のFS鍵盤はキーの突起が一つ多いけどそこら辺はあまり関係ないと思う。
採用機種
意外と多いんだなー。
YAMAHAだけじゃなくてKORGにも採用されてます。
まず、YAMAHAは上位機種ならMotifESあたりまで採用されてます。
KORGは知ってるところで言うと
- M1
- T2/T3
- 01/Wシリーズ
- WAVESTATION
- TRINITYシリーズ
- TRITONシリーズ
※いずれも88鍵は除く
というところです。
X2はFS鍵盤じゃないはず。M3以降は独自(?)の奥行きがまったくない鍵盤になってます。M50とかは取ってつけたような剛性の足りないセミウェイトになってたり。
分解方法
鍵盤Assy外したらフレームについてる白いモールを外します。
FS鍵盤は奥にずらして支点を持ち上げる感じで動かせば外れます。
リーフスプリングは黒鍵、白鍵共通(確か)だとは思ったけど一応それぞれ別々にまとめて置くのが吉です。
リーフスプリングは反ってます。
一部意見ではスプリング返しとか言って反ってる方を本来と逆に設置する手もあるようですが、個人的見解ではその必要はないと思います。
反ってる方、山なりになってる方を鍵盤奥(表面側)に戻して問題ないと思ってます。
理由は…。上記FS鍵盤の特徴にも書いてますが、タッチに一番影響するのはスプリングではなく、グリスの具合です。
グリスの具合一つでタッチが劇的に変わります。スプリングの裏表の差異なんて些細なもの(むしろ作業性的に劣る)ですわ。
掃除方法
掃除してください。マジックリン使ってもいいですよ。
仮にもエンジニアリングプラスチックですんで頑丈ですんで。
※マジックリンとかで脱脂されるようなレベルじゃないかなって…
組立方法
バネ仕込んでシャーシの溝にちゃんとハマるように組み立てて・・・
黒鍵からやってね!!!当たり前だけど!!!!
詳細はこっちをみてもらうってことで。
調整方法
さー、調整ですよ調整!!
必要なのはバランスと感覚!!
ぶっちゃけ奏者として納得のいくタッチにするっていうのが一番重要です。
オクターブ分組み込んで弾いてみてバランスが違う鍵盤がないか調べる。
弾いてみて違和感があれば論理的に組み立てたとしてもアウト。当たり前やね。楽器だもの。
調整をするポイントはグリスとキーガイドです。
打鍵してネットリするようならグリスを減らす。
打鍵して引っかかりがあるようならキーガイドの黒い樹脂が曲がってたりするのが原因。
キーガイドの引っかかりがあったら曲がり修正はできないんでデザインナイフとかで削っちゃって大丈夫です。打鍵感に影響するものは排除排除。
注意点
鍵盤組み換えとかする前にセンサーユニット外しましょう。
鍵盤組むときとかセンサーのステンレス板曲げたら厄介ですからね。
とりあえず、とりとめなくなってきたんで今回はココらへんで。
センサーユニットは丁寧に扱ってくださいね。
ベロシティに影響しますんで。
以上!